波多野くんはすごく心配そうな顔をした。

けど、また笑って『じゃ!』って。


………佐倉くんが不機嫌?

いつもみたいに本を読んでるわけじゃないの?



……ちょうどその時、授業始まりのチャイムが鳴った。


『あ、戻るね』


そう言って、柳くんも席に戻る。


(佐倉くん?)


横目で見た佐倉くんは、

いつもと違う目をしていた。


あ、ホントに不機嫌なのかな……って、

簡単に分かってしまうくらいだった。