そう言い電話を切った後、
「ごめん、俺帰るわ」
と言った。
しかし、何故か意気投合した彼方が
「は?まだいいだろ?」
と言った。
俺だってまだ帰りたくねぇよ…でも母さんには俺以外に頼れるやつがいない。
「悪い、用事ができたんだよ…じゃあな」
と言い俺は帰った。
俺は、彼女を作らないんじゃない…作れないんだ。
彼女が出来たとしても母親から電話が来たら俺はそっちへ行かなければならない。
1番に考えてやれない。
その時の俺はそう思ってたんだ。
家に着くと、
「浩哉、どこに行ってたの?」
と母さんに言われた。
いつもなら、"週番だった"とかで、誤魔化すけど、今日は何故か違った。
無性に腹が立ってしまった。
「どこだっていいだろ、いつもうるさいんだよ」
とつい口から出てしまった。
まずい…強く言い過ぎた。
「そう…そうなのね…浩哉も私の事どうでもいいのよね…」
そう言うと、母さんは泣きはじめた。
俺は母さんに泣かれるのには弱い。
もうこれ以上傷ついて欲しくないから……
「ごめん…母さん。俺が悪かった、言い過ぎたごめん」
謝ることしかできない自分に腹が立つ。
それに、母さんをこんなに苦しめた奴も許さない。
-Mai-side
「おはよう、舞」
「うーす」
「おはよう、佳織、彼方。」
今日もいつも通り幼馴染の佳織と彼方の3人で登校していた。
そして、校門のところまで来ると、
「お前らは本当仲がいいな」
と浩哉が声をかけてくれた。
ドキッ…
あれ、またドキって。
なんでだろ…浩哉の顔見ただけなのに…
自分の気持ちがわからず顔をしかめていると
「どうした?変な顔して」
浩哉が心配そうに覗き込んでくる。
「な、なんでもないから!」
そう言って私はすぐに顔を逸らした。
顔が熱くなっていくのが自分でも分かる。
何か分からずキョトンとしてる浩哉と
「朝から見せつけてくれるわね」
といい笑みを浮かべる佳織。
「今日の一限目ってなんだっけ?」
彼方はそんなことを言っている。
なんか、私の高校生活大変なことになりそう…
_________________
___________
______
そして、あれから1週間たったある日
私はいつも通り佳織達とお弁当を食べようとして席を立った瞬間、
「大塚さん、ちょっと来てくれる?」
違うクラスの女の子4.5人がいた。
え、私?
全く認識ないんだけど…
きっと大塚違いだよね…
と思い返事をしないでいると、
「あれぇ〜?聞こえないの?
大塚さん、貴方しかいないでしょ」
あからさまに作ったと分かる笑みを浮かべてそう言ってくる。
やっぱり私…?
「何ですか?」
嫌な予感がするなか、渋々声を掛けると
「ちょっと来て」
と腕をぐいっと引っ張られた。
「ちょっ…痛いんですけど」
私が言うとさっきまでの笑顔はどこへいったのやら、鬼の形相で、
「だまってついて来いって言ってんだよ!」
と私にだけ聞こえるように言った。
こ、恐っ‼︎‼︎
そして、渋々着いていくことになった私と女の子達は少し歩いて校舎裏に着いた。
風の音が虚しく響く。
さっきの嫌な予感が的中するなんて……
「すみません…帰っていいですか?」
ダメ元で聞いてみると
「帰すわけないでしょ?あんたバカ?」
…はい。そうですよね。
私は諦め淡々とした口調で言った。
「で、何の用ですか?」
「あんた、最近櫻井くんと仲良いみたいね。」
やっぱり浩哉のことか…
最近、浩哉と話すたびに女子からの視線が痛いことに薄々気付いていた。
でも、こんなんでへこたれたらダメ。
「……仲良くしちゃいけないんですか?」
思い切ってそう言うと
「私たちは仲良くしたくても、遠慮してるんだから!」
何それ?そんなの知らないし…
「…じゃあ、仲良くすればいいじゃないですか?」
私も半分怒り気味で言った。
「はあ?あんた生意気なんだけど?」
と言って、1人の女の子が手を思いっきり振り上げた。
ヤバイ!殴られる…
そう思い目を瞑った時…
「何してんだよ。」
え…
目を開けるとそこには、
浩哉がいた。
「浩哉…ど、して…」
「さっき教室でみてて、なんかやばそうだったから来た」
それで、きてくれたんだ…
嬉しい…
なんか、またドキドキする…
「で、今こいつに何しようとしたの?」