甘々な彼とスイートピーを。






「舞が好き、付き合って下さい。」












私は自分の耳を疑った。


だって、私は病気で…

一年も生きられるか分からなくて…





涙が溢れた。





「俺は、舞と一緒にいたい。たとえ後少しでも俺は舞と一緒にいることが幸せなんだ。」



「いいの?こんな、私で……」



「俺は舞が大好きだよ。」



「うぅ〜よろしくお願いします!」



私がそう言うと、浩哉は私を抱き締めて、



「もう、俺から離れないで…」



と言ってくれた。





多分これから沢山迷惑かけちゃうと思う。



数え切れないほど、ごめんって言うかな


でも、それに負けないくらいのありがとうを言うよ。



「私も大好きだよ!」



そして、浩哉が私の耳に口を近づけ何かを言った。


多分今私の顔は真っ赤だろう。



「舞、顔真っ赤。」


そう言って浩哉は意地悪く笑う。


「だって、浩哉が耳元であんなこと言うから!」


“舞、愛してる”


私は恥ずかしくて俯く。

すると浩哉は私の顎をクイッと持ち上げて、


「キスしたい……」


と言った。


私は返事の代わりにゆっくりと眼を瞑った。



そして、スイートピーの花の香りに包まれながら私たちは甘いキスを交わした。




浩哉、愛してる。






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「はい、じゃあ修学旅行の班決めを始めるから席つけー」


季節は6月の終わり。うちの学校は7月の頭に3泊4日の修学旅行がある。


多分これで最後になるんだろうな…
そう暗くなっていると、


「舞、楽しもうな」


浩哉がそう笑顔でいってくれた。
素直に嬉しくて満面の笑みで「うん!」
と返した。


せっかくみんなで行けるんだから楽しまなくちゃね。





「じゃあ4人1組を作ってその班で行動しろー」


先生がそう言うと、


「自由でいいんすかー?」


そう言う質問が飛び交った。


「本当はあまり良くないが、今回はいいだろうということになった。」



それを聞いてみんなは嬉しそうにはしゃいでいた。


私もそのうちの1人で、


「やったね!舞同じ班ね!」


と佳織が言いにきてくれた。

「またこの4人かーま、楽しいからいいけどな!」


とちょっとカッコつける彼方。


実は彼方と佳織は見事に付き合ったんだ!


私と浩哉の件が解決した後、佳織が告白したらしい。



佳織に先に言われて彼方は相当落ち込んでるようで、本当は先に言いたかったと後でこぼしていた。






「彼方嫌なら別にいいんだぞ、他に誘う人いくらでもいるからな。」


浩哉はそんな彼方に冷たくあたる。

愛情の裏返しってやつかな?




「おいひろや〜そんな事言うなって、俺もこの4人じゃなきゃ嫌だ!」



浩哉、佳織、彼方。

私は今どれだけこの3人に救われているか言葉では言い表せない。



「みんな、ありがとう。」



自然とその言葉が出てきた。

それを聞いたみんなは黙ってしまった。







「え、みんなどうし……っ!」



私は驚いて言葉を飲み込んだ。

だってみんな泣きそうな顔しているから。





「え、ちょっと、どうしたの?」



そう言うと私の頬を冷たいものが走った。

涙だった。

私が涙を流すと佳織は号泣で浩哉と彼方も目を赤くしている。


周りからは、「え、なにがあったの?」などという声が聞こえたがそれが気にならないくらい泣いた。


そして言葉で言わなくてもみんななにが言いたかったか分かった。

みんなも多分そうで、それを思ってまた涙が溢れた。





そして、泣き止むと案の定みんなから色々聞かれた。



私は戸惑ったけど、みんなも同じらしく4人で目が合いまた笑った。



やっぱり好き。


素直に生きてて良かったって思えた。



「修学旅行楽しむよ!」




そう佳織が言った。



「うん!」








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修学旅行へ行く2日前、私は病院の先生から呼び出された。


修学旅行の許しは出たのに、今度はなんの話だろう。

嫌な話じゃないといいけど…



そう思いながら、病院へ向かう。




病院に着き、受付を通ると、




「舞ちゃん」



先生がこっちこっちという風に手を招く。



「舞ちゃん、急に呼び出してごめんね。ちょっと話したいことがあってね。」



と不安げな私に先生は微笑んで言った。

この感じからするに、悪いことではなさそう…






そして、別室に案内され、中に入ると、




「…お父さん、お母さん!」



そう、そこには私の両親がいた。


そして、私にはまた不安がのしかかる。



お父さんとお母さんが来てるってことは、大事な話だ。


修学旅行…行けるよね……?





「舞ちゃん、不安がらないで、悪い話じゃないから。」




不安そうな私を見て先生はそう言う。


そして、私たちの前に座った先生は話始めた。




「今日来てもらったのは、舞さんの意思を聞くためです。」