甘々な彼とスイートピーを。





それからというものの、




父は多額の借金を抱え、




そして、家から出ていってしまった。






母は父が出て行ってしまった為、借金を払うべく一日中仕事に打ち込んでいる。




だから、私は高校は入らずなんでもいいからバイトを見つけて働くと母に言ったのだけれど、









母は、怒ったように、




「何言ってんのよ。あんたは高校行きなさい。それ位お母さんがなんとかするから、舞は何も心配しないで。」




と言ってくれて無事にこの高校に行ける事になった。





しかし、私はショックの発作のせいか過呼吸になってしまうことが多かった。




その時は何もかもが嫌になって、幸せなど感じなくなってしまった。



街で幸せそうな家族を見るたびに、なぜか怒りが湧き出たりもした。






そんな自分にも嫌気がさして、本気で何度も死んだ方が楽なのではないかとも思った。




そんな私をいつも励ましてくれたのが幼馴染の2人だったんだ。





そして、今、





発作は治まりつつあり、普通の生活をおくれるようにもなってきた。




















「私は大丈夫、さ、帰ろっか!」




くよくよしていたって仕方がない。




それに、お母さんも私のためにがんばってくれているのに、私だけ落ち込んでいられない。




そう思い私が言うと、





「何かあったら言ってね」





「ああ、すぐ飛んで行くからな」





佳織と彼方がそう言ってくれる。









本当に佳織と彼方がいて良かったと思う。



























________そして、その日は



2人と別れて直ぐに家に帰った。





「ただいまー」




「おかえり、舞、悪いんだけど買い物行ってくれる?」




「分かった」




お母さんにはあまり負担かけたくないから、買い物はいつも私の仕事。




だけど、その日はなぜか少し憂鬱だった。



さっき昔の事を少し思い出してしまったからかな…











そして、

買い物が終わり帰ろうとした時、



「ハァ、ハァ…」




やばい、まただ…





過呼吸。






過呼吸には慣れてしまった。


息をしたいのに、体はそれに反して言うことを聞いてくれない。


もどかしい…


私はその場にしゃがみ、紙袋で口を押さえ、呼吸を整えていた。



最近は来なかったのに…




「大丈夫か?」





すると、同い年くらいの男の人が声をかけてきた。



私は息が途切れそうになりながらもその人に答えた。




「ただの…過呼吸…」





「救急車呼ぶか?」





「ハァ、ハァ…大丈夫…」





その男の人は私が落ち着くまで、そばにいてくれた。





「すみません、ありがとうございます…」









「もう、大丈夫なのか?」





「はい…慣れてるんで」





「大変だな…」




そう男の人は言ってくれた。




「本当にすみません…」



「いや、そうだ、お前桜木高校?」



えっ…
何で知ってるんだろう…




「はい…そうですけど…」





「だよな、さっき教室で見た気がする、こう見えて俺顔覚えるのはえーんだ。」





「は、はぁ…」





「1-A 12番 櫻井 浩哉(サクライ ヒロヤ)。宜しく!」




そう言って貴方は笑った。



両頬に出来る笑窪(えくぼ)が、どことなく懐かしく感じられた。




"ピーーーー。"



どこかで、

ホイッスルが鳴ったような気がした。






それが貴方との出会いでした。









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__________
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それから次の日



教室へ入ると、




「あ、昨日の、大丈夫?」




櫻井くんから話しかけられた。




こうして見ると相当格好いいなあ…





フワッとして少し茶色がかった髪の毛、


スラリと伸びる高い背、


人を惹きつけるような目、




もてるんだろうな。








「櫻井くん…だよね…昨日はごめんなさい…」




「浩哉でいいよ、俺も舞って呼ぶから、あと昨日の事は気にするな」




浩哉…呼べるかな……




「あ、わかった。浩哉…ね…」




「おう、じゃあ授業始まるからまた」




"キーンコーンカーンコーン"


それと同時に始業のチャイムが鳴った。



早速友達が出来たかな、


それくらいの気持ちだったんだ。




この時までは________









そして、1日の授業が終わり、佳織と彼方と3人で帰ろうとした時に、




「舞、この後空いてるか?皆でカラオケ行かねえ?」




浩哉からだった。





「どうしよう…佳織達行く?」




「私はいいよ」




「俺も」





「佳織と彼方もいい?」




「おう、もちろん」




「じゃ、行こっか」



そう言って





皆でカラオケまでの道を歩いているとき、