若いからって理由で押し上げられた先生が想像できてあたしまで笑ってしまいそうになる。

のんびり話を聞いてるうちにいつのまにか走ることになってたんだろう。先生のことだからそうに違いない。

「しかも、アンカーなんだよね。」

「えっ、中村さんじゃなくて?」

「うん。おかしいよね、絶対俺の方が遅いのに中村先生、アンカーは嫌だって」

陸上部の顧問の中村さんがアンカーを務めないなんて絶対変だよ。

……まぁ、あたし的には先生がアンカーを走るとこが見れるのは嬉しいけど。


「先生、一位期待してますよ。」

「うわ、プレッシャーだそれ。」

一位は無理だよ。なんて言いながらもいつもみたいにふにゃんと笑う。

だから、ほんとに一位取っちゃうんじゃないのって気になるんだよね。


「加地、お前何に出んの?」

シロの大きな声が教室内に響いて、席に座ったままだった加地くんが窓の外に向けてた視線をシロに向ける。

…やっぱり不機嫌だ。

体育祭なんてどうでもいいって、声に出さなくても分かるよ。

めんどくさそうにシロを見てて、何も答えずに視線をそらしてしまった。