…別にあたしがいなくたって描いてるか。

だって、あの絵はあたしが美術準備室に行く前から描いてたんだから。

先生は1人でも描いてるよね。


「元気ねぇなー。」

「…元気だし。」

「何だその嘘。バレバレだからやめろ。話ならいくらでも聞いてやるぞ」

何だかんだ言って優しいんだ。

いつもはふざけてばっかなくせに、たまにこうやって親身になってくれる。

だからシロのこと憎めないんだよね。


「大丈夫、ほんとに何でもないから」

シロには悪いけど、どれだけ辛くても悩んでても、絶対に言えない。

話せるわけない。


「…そ、じゃあ俺バイトだから帰るな。」

「うん、また明日」

手を振ると、シロは何か言いかけてそのままあたしの頭をポン、と撫でた。