片手に草、片手に帽子を持っている私は、思っていたよりも急だった坂を1人で登ることはできなかった。



「誰か助けてっ」



数日前、雨が降って川の水はまだ増水したまま。



いつもとは違い、ゴウゴウと音を立てる川はとても怖い。



「…お母さんっ」



掴んでいる草は小さな子どもの体だとはいえ、すでに耐え切れずに切れそうだった。