恐怖のあまりに、頬には涙が伝う。 「……っ!?」 「もう1つの手も伸ばして!」 私の腕を掴む小さな手。 涙ぐんだ目では、はっきりとは見えないけれど、私と同じくらいの歳の男の子が私の腕を掴んでいた。 「ほら、早く!落ちちゃうよ!」 「…うん」 帽子を持ったまま、その手を精一杯男の子の方へと伸ばす。 「よし、掴んだ!引っ張るよ!」 私と同じくらいの小さな体で一生懸命に私を引き上げてくれた。