「そ、もういいよみーちゃんなんて」

ゆかりんはそのまま部屋を出て行った。

ごめんね、素直になれなくて……

私素直になったら……

「怖いくらい甘えちゃうから」

_________

「実彩!!」

精密検査が終わると杏奈が飛んできた。

「あ、杏奈」
「大丈夫?」
「うん」

それから話題はまたまた隆弘の話へ……

「隆どうするの?」

杏奈は私のことを唯一わかってくれる人。

きっと何もかも隆弘から聞いたんだろう。

「ちゃんと断るよ」
「……いいの?それで」
「うん」
「じゃあ、しょうがないね」

杏奈はきっと私の気持ちを知っている。

きっとそれはゆかりんもだけど
杏奈は私の過去を知ってるから……

そこまで私に口から物を言わないようにしてくれる。

だけどきっと私のことを全部わかってるんだろう。

隆弘のことが好きって事も……

「でも、一つだけ言ってもいい?」
「何?」
「同じ過ちだけは、しないでね?」
「……うん」

それから私達は仕事のことやプライベートの話もしてたくさん笑った。

たまに笑い過ぎて傷口が痛かったけど、有意義な時間だった。

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「じゃあ私もう帰るね?」

気がつくともう面会終了時間。

あれからゆかりんは一回も戻って来なかった。

「うん、気をつけてね」
「はーい。あ、そうだった!!」

杏奈はドアに向かってた足を止めて振り返った。

「ん?」
「ちゃんと自分の言葉で伝えるんだよ?
私以外の人は言葉にしないとわからないから」
「……うん」

それはゆかりんのことなのか隆弘のことなのかわからないけど……

「それと……明日Chargeが来るって」
「……そっか」
「頑張って。何かあったらいつでも連絡頂戴?」
「うん、ありがと」

優しく笑うとそのまま杏奈は手を振って部屋を後にした。

「……明日、か……」

私はそのまま浅い眠りについた。