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ーバタッ……

「実彩!!」

私は遂に壊れてしまった。

しかも、ただあの気持ち悪さが原因ではない。

それは、一つのある事がきっかけだった。

そんな事は簡単、すぐ説明できる。

ー「Chargeのタカさんが交通事故に遭いました」

そんなテレビの向こうから聞こえる
しっかりとしたキャスターの声。

どうして、そんなに真顔で話せるの?

隆弘は、怪我したんだよ?

どうして、人事のように扱うの?

私はあまりのショックでそのまま倒れてしまった。

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頭の激痛に目を覚ますと
見慣れた壁一面に貼られた写真が目に入る。

私が倒れたところって、溜まり場だったんだっけ。

「……実彩ちゃん、目覚ましたんか」

久しぶりに聞いた関西弁に目を向けると
悲しそうに笑っている真司くんがいた。

杏奈がいない……

「あーちゃんは今、隆のところに行ってるで?」

私の心を見抜かしたように答える真司くん。

「隆は、そんな大事故じゃないんや。
まぁ、確かに怪我はしとるけど、
意識もしっかりとしてるし。
だから、心配することないんやで?」

そう言われて安心した。けれど……

“怪我ってどれくらい?”

私の心は焦るばかりだ。

だって私は昔、隆弘に怪我させたから。

「心配することない怪我やって」
“本当のこと教えて?
私、隠されるのこわいから”

すると真司くんはそっと眉毛を曲げる。

「実彩ちゃん、そんなに隆が心配か?」

え……?

私は思わずハッとした。

どうしてそんなこと思ってるんだろう。

隆弘のことなんて、もう関係ないのに……

気づけば私が倒れた理由って、隆弘のことじゃん……

「実彩ちゃんに、杏奈から預かったものがあるんや」

すると真司くんはバックから何かを取り出した。