皇帝のいる酪陽へは船で移動。

中国の南北を結ぶ、大運河だ。


「方々を旅する意の、南船北馬という言葉は中国のことをいっていたんだったな」

一人でそう呟くも、周りには誰もいない。

「太子......」

ぼくは太子と出会った時のことを思い出した。

比較的真面目な性格ということで
親しい人などあまりいなく、

ぼくが遣隋使で冠位5位に昇格すると
知られた時、
周りからの視線が鋭かったことを覚えている。

自分でも
なんでぼくが.....
と思っていた。

でもそんな時、優しく受けとめてくれたのは

──────太子だった。

宜しくな、と言い
にこっと笑ってくれた。

その時、ぼくは
この人のようになりたい
と強く思ったのだった。