そのまま目を閉じると、再び睡魔が襲って来た。
でも本当に猫だったら良いのにな。
こうやって飼い主さんに撫でられて、暖かいお家で1日寝られたら・・・。
最高に幸せだろうなぁ・・・。
「名前、なんて言うの?」
うとうとしていると、低いテノールの彼の声が耳に入る。
それでも思考は回復しないで、うとうとしたまま答える。
「美依。室谷美依」
「みー?」
“みー”ではなく、“みい”なんだなぁ・・・。
そう言いたいけど、眠くて言葉にならない。
「うー。美依。」
「そっか。じゃーミーコ。おやすみ」
ちゅっと柔らかい何かが唇に触れた。
それはすごく気持ちよくて、安心するものだった。
私がよく飼っているハムスターにする愛情表現と一緒。
口と口をくっつけて・・・
ちゅうー・・・
「・・・ちゅ、う?」
途中で違和感を感じて目を開けると、すっと顔が離れた所だった。
「ミーコ。可愛いなお前」
もう一度チュっとリップノイズを立てて彼が私にキスをした。
それは本当に子猫にするような感覚で。
「・・・なっなぁー!」
ボッと赤くなったまま身体にあるいっぱいの力で彼を突き飛ばした。