カァーっとした頬に手を当てると、とっても暑い。
これは夏の日差しのせいなんかじゃなくて、大好きな先輩の唇に触れたからだって思う。
一人で椅子に座っていると、火傷した所がジンジンしてきた。
「・・・っ」
痛いけど、今は先輩もお友達と楽しそうに準備してるし邪魔したくない。
少し位我慢。ね、美依!
その時に足にヒンヤリした感触がした。
ぱっと視線をあげると香奈子さんが氷を当ててくれていた。
「あっ」
「痛い?鎮痛剤があればいいんだけど」
「あっ大丈夫です!これくらい・・・ありがとうございます」
さっきまで嫌われてるって思ってたんだけどな?
すごい優しい。
「幹夫、と私はなんでもないからね?」
私の顔を見ずに、そう呟く。
一切顔を上げずに、一言そう言った。
でもこれじゃあ
“何かあります”
って言われてるのと一緒だよ・・・。
だけど、
ギュッと拳を握り、口を開く。
香奈子さんと先輩の事が気になっても、先輩はなんでもないって言ったから。
「大丈夫です、わからないけど・・・先輩が笑いかけてくれたから」
先輩の笑顔は勇気をくれる。
先輩が笑っていれば、それについていく。
信じられる。