「ミーコちゃん!大丈夫!?」
みんなの所に戻ると、先輩のお友達がみんな心配してくれる。
迷惑かけちゃった。
「悪いな、支度任せて」
おんぶしてくれていた先輩が誤るのに合わせて私もペコっと頭を下げる。
その中でも香奈子さんはちらりともこっちを見てくれなかった。
先輩が言ってた“あの事”ってなんだろう?
やっぱり先輩と香奈子さんってなんかあったのかな?
元々付き合ってた?
「ふぅ…」
「ミーコ?どした?痛いか?」
こんなに格好よくて、優しいんだもん。
私以外の人が先輩に恋をしていても当たり前のことだよね?
でも先輩が他の誰かを好きになってたなんて、すっごいヤキモチ妬いちゃう。
「ううん。ヤキモチ妬いてた…。」
「ぷっ!それは口に出さないでいいから」
正直に言ったら先輩に笑われた。
ヤキモチ妬くのってやっぱり子供なの?
だから先輩は笑って済ますの?
「ミーコ?ヤキモチ妬いてる暇があったら、これから力仕事する俺にパワー頂戴?」
「パワー?」
ニコニコっと笑う先輩。
こうやって笑うときは、絶対意地悪なことを言うとき。
「…ちゅーはヤダ」
「なんで?」
「だって、みんないるもん」
みんな支度に夢中だけど、誰かしら気づいちゃうもん。
「大丈夫、ほら早く」
とんとんっと叩いたのは唇じゃなくて頬だった。
ほっぺならいいよね?
そう思って目を閉じて唇を近づけると、いつもの感触が広がった。
「?」
ぱっと目を開けると先輩の唇がくっついていた。
「!!!!」
「やりっ」
そう子供みたいに笑いながら、私を椅子におろしてみんなの所へと走っていった。
ドキン、ドキンと顔が熱くなった。