「痛いっ」

「馬鹿っ傷になったらどうすんだよ」

水道の水を足に掛けながらミーコの足に触れる。

「ごめんなさい」

シュンとするミーコ。

痛がるミーコに、怒っても仕方が無い。

ただでさえ、香奈子にビビっていたのに。

「ちゅ」

火傷したところに唇をつけると、ミーコの体が一瞬揺れた。


「せっ先輩!」

焦るミーコを無視して、傷跡に舌を這わせる。

「恥ずかしいよ、先輩」

本当に恥ずかしいのか、足先まで真っ赤だ。

弱弱しく俺の肩に触れるから、たまらずに顔をあげてミーコの唇に触れた。

「ふっ」

バーベキューの肉の匂い充満してる中で、俺の鼻を掠めるのはミーコのシャンプーの匂い。

チェリーの匂いがするシャンプーは、ミーコお気に入りの雑貨屋にしか売ってないものだと前に自慢していた。

ふ、ふっと苦しそうに鼻を鳴らす。

やべ、止まら「こら!!」


ミーコの腰に手を回したところで、後ろから大声が聞こえた。


とりあえずミーコを胸の中に抱いて、振り向く。


「香奈子かよ、何?」

その間もミーコの背中をとんとんと叩いてやる。

「公の場で盛んないの!美依ちゃんも嫌じゃないの?こんなところで」

一瞬ミーコを鼻で笑う態度に、さすがに怒りがこみあげる。


「香奈子。今日なんなんだよ?ミーコに変な言いがかりやめろよ。あの事なら、とっくに終わってるだろ?お前が口に出す事じゃねーよ」


「…ふん」


気まずそうに香奈子は俺らに背を向けて行ってしまった。


香奈子の言いたい事はなんとなく分るけど、  





今はミーコのことしか考えられないから。


「…先輩?あの事って?」


「気にすんなって。とりあえず足は平気だろ?みんなの所に戻ろう」


そう言うと、納得いかなそうだけどゆっくり頷いた。