「ミーコお前、やっぱり可愛いよな」
「なっ!何を急にっ」
付き合ってもう長いけど、“可愛い”って言葉はやっぱり嬉しい。
恥ずかしさでボスボスっと幹夫のお腹を叩く。
「痛いって。でもそんな仕草も可愛いけどね」
幹夫の前ではいつだって可愛い女の子でいたいんだ。
お互いどちらからともなく視線を合わす。
「ミーコはヤキモチ妬きだよな」
「むっ・・・」
「付き合って初めての夏、覚えてる?」
チュッと一瞬だけ唇をあわす。
“もっとして欲しい”
って事を伝えたくて、じっと幹夫を見つめる。
「だーめ。思い出すまでお預け」
クスっと笑いながら、意地悪そうな顔をする。
「・・・忘れる訳ないって分ってるくせに・・・」
幹夫を本当に“好き”なんだって実感した事。
だけどその前に辛ーい嫉妬があった事。
「ヤキモチ焼いてるミーコも好きだよ」
初めて二人で迎える夏は、
私にとって甘酸っぱい夏だったんだ。