「本題に入る前に説明しとくけど。穂波はいつも男と別れるとあぁなんの」
本題ってなんだろうと思いながら、先輩の話を聞く。
「昔から俺は兄貴みたいなモンだったから、甘えてるだけ」
“昔から”っと言う言葉にチョコットだけ嫉妬する。
「最近は落ち着いたけど、前はもっと男遊びがあってな?男と別れる度に泣きながら俺の・・・」
そう続けようとした先輩が、ヤバイっとした顔で言葉を遮った。
「?」
「いや、別に何でもないから気にすんな」
「え?」
そう言うなり、先輩はさっき指を指した公園へと入っていく。
何?先輩は何を言おうとしていたの?
「ミーコ~?ブランコ一緒に乗るか?」
先に座った先輩が、ポンポンっと空いた先輩の足の間を叩く。
「こっ交代で乗る!」
恥ずかしくてブンブンと首を振る。
「俺一人でブランコとか痛いから、早く来い」
「でっでも・・・」
「ミーコ。本当は一緒に乗りたいだろ?」
・・・うう。
本当は一緒に乗りたい。
一緒にブランコ乗って遊びたい・・・。
「ミーコ。早くしないと俺降りるよ?」
「ダメッ」
立とうとした先輩を制すように、先輩の足の間に駆け込む。
「ったく。最初から一緒に乗りたいって素直に言う。分った?」
コクンっと頷くと、先輩は後ろからギュッと抱きしめてくれた。
恥ずかしくて死にそうだけど、すごい嬉しい。
さっき咄嗟に「先輩が好き」と言ってしまってから、先輩の瞳に拒絶の色が無い事が、
心の底から嬉しい。