「ミーコ?」
帰り道、先輩はいつものように家に送ってくれる。
手を繋ぎながらゆっくりと帰る。
それが私の楽しみだった。
なのに・・・
「ミーコちゃんって名前可愛いよね」
私と先輩の間に入る、穂波ちゃん。
私を送るのと同時に、穂波ちゃんのことも家に送るらしい。
モンモンとした気持ちになる。
なんでだろう?
穂波ちゃんは明るいし、嫌な事を言われるわけでもない。
なのにプイっとしたくなってしまう。
なんて嫌な子なんだろう・・・私。
でも“ミーコ”は先輩だけに呼ばれるあだ名なんだもん。
“ミーコ”はダメ・・・。
「美依なんだよ、名前。」
「あ、そうなの?美依ちゃん?」
ほっとして顔を上げると、穂波ちゃんは私ではなく先輩を見て笑っていた。
ズキン。心臓が止まったみたいに一瞬からだが冷たくなった。
きっと猫だったら、毛を逆立てて“フーー!”って鳴きながら威嚇するんだろうな。
そんな風に自由に考えてる事を体で表現できたら・・・。