穂波ちゃんは、シェフの一人娘で今日は学校帰りにお店に寄ったらしい。


行きなりお店に入って来た穂波ちゃんにびっくりしたと思ったらしく、


先輩がそう優しく教えてくれた。


いつもの様に優しく、ゆっくりと。


そんな先輩の優しさに、寂しかった心が少しだけおさまった。


胸が温かくなって、先輩の手をギュッっと握った。


「どうした?ミーコ」


ブンブンを頭を振りながら俯く。


その瞬間、きつい視線を感じた。


その視線の先には、こちらを強く睨みつけている穂波ちゃんがいた。


“先輩が好きなんだ”


鈍感な私でもすぐに分かった。


行きなり現れた可愛い女の子は、


生まれて初めての淡い恋の、


最初に現れたライバルだったんだ。