急に赤くなったミーコの顔を覗くと、一瞬困った顔をした。
でもそれは本当に一瞬で、すぐに俺の胸に飛び込んできた。
グリグリと頭のてっぺんを俺の胸板に押し当てる。
「こら。また眠くなったんだろ。今日はおぶってやんないからな?」
ミーコがここで寝てしまい、ミーコの家までおぶらされたのは一回どころでは無い。
ミーコは背も低ければ、太っているわけでも無いので全く重い訳では無いのだが。
「眠くないもんっ」
「毎回毎回そう言うだろ」
ここで俺がポンポンっと頭を撫でてやれば一発で寝るくせに。
「今日は、寝ない・・・」
「嘘つ・・・」
嘘付け。そう言おうと思ったのに、上を向いたミーコの表情がいつもより真面目だったので俺は言葉を失った。
「どうした?何かあったのか?」
学校で嫌な事があったのか?
虐められた?怒られた?傷つけられた?
いや。俺が傍にいるのに、そんな事はあり得ない。
俺はいつだってミーコの傍にいて、子猫みたいなミーコを色んなものから守ってやりたい。そんな風に思っているんだから。
そう思い出したのはいつからかは分らない。
だけど、俺の中でミーコは“特別な存在”なんだ。
傍で守ってやるのが、俺の役目。
ミーコが傍にいるとそんな風に思ってしまう。
この小さな存在が、今の俺の一番の宝物。