「ん~!美味しいっ」


パクっと口の中に入れた瞬間広がる甘~い食感。


「ミーコ唇にクリームついてるし」


今は、先輩のバイトしているレストランで夕食を食べて、デザートを頂いているところ。


シェフが作った紅茶のシフォンの生クリーム和え。


「やだっ、どこどこ?」


あまりの美味しさに、ついつい食べ過ぎちゃう。


「ここ」


唇についてしまった生クリームを必死で取ろうとすると、その前に先輩の指によって綺麗に取られてしまった。


そんな王子様みたいな仕草に、ゴーンゴーンと胸の中の鐘が響く。


ただ一瞬触れただけなのに、体がすごく熱くなって引き締まった細い胸に抱きついてしまいたくなる。


ギュっとひざの上で手を握って、飛びつきたくなる衝動を抑える。


「ホント、おじさんの作る料理は上手いよな」


ぺロっと手に付いたクリームを舐めて、おじさんがいるキッチンを覗く。


わっ私の口についてたクリーム!


後ろを向いてシェフと喋っている先輩の後ろで、一人真っ赤になる私。


わわわっと手を口に当てていると、いつの間にか先輩がコチラを向いていた。


「ミーコ?顔赤いけど・・・」


先輩の筋の通った綺麗な鼻、不思議な魅力のある素敵な瞳。


その瞳を少しだけ覆う柔らかい前髪。


先輩・・・私、なんだか変な気持ちになっちゃうんです。


先輩と一緒にいるだけで、すごくすごく弱くなっちゃう。