またそれから数日がたった。
あの日先輩は、私が目を覚ますまでずっと抱きしめてくれてた。
彼が私にとっての“特別な人”になるまで、そう時間はかからなかった。
毎日当たり前のように駅で待ち合わせをするのが当たり前になった。
沢山話をして、沢山笑顔を見た。
先輩が朝、低血圧で辛い事と、
夜はレストランでバイトをしている事、
マイペースな性格で、好き嫌いがハッキリしているのが特徴で・・・。
数日で先輩のことすっごい分ったと思う。
どうしてこんなに短時間のうちに仲良くなったのかは分らないけど、すごく素敵な出会いだったと思う。
「ミーコ、今日来る?」
月曜日と水曜日、それと日曜日は先輩がバイトの日。
水曜日の夜に先輩のバイト先に行くのが私の毎週の日課になっていた。
先輩のバイトしているレストランは、レストランと言ってもシェフが一人で経営してる小さなレストラン。
店内は椅子が4つのカウンターと二人用の小さなテーブルだけ。
シェフはすごく優しい人で、幹夫先輩の叔父さんにあたる人。
毎週毎週呼んでくれて美味しいご飯をいつも出してくれる。
だから端っこのカウンターは私の特等席になっていた。
「うん!今日はなんのお料理かなー?」
ルンルンとスキップをしていると、幹夫先輩は優しそうに微笑む。
こんな二人の関係は、誰もが不思議に思っていた。
もちろん。当の本人の私でさえ、不思議な関係だった。
私にとっては“特別な人”
じゃあ・・・先輩にとっての“特別な人”って?
一体誰なんだろう。