「いきなりビックリしただろ?ごめんね?」
すっと体を離した先輩に、心から寂しくなる。
やだ、もうちょっと。
離れた先輩の腕をそっと掴んで、さっきの位置に戻ろうとする。
・・・あれ。もっとさっきの方が安定感があって居心地がよかった。
もっとこっちかな?
もっと下かな?
安定感を求めて定位置を探してモゾモゾと動く。
すると、さっきの安定感が戻ってきた。
それは先輩が私の腰に手を回してくれたからだった。
そうだ、この包まれてる感じ。
すごい安心する。
「ミーコ?そんな可愛いことすると、俺本当やべーよ」
ギュッと包まれる感触。
堅い胸板、微かに香る香水の香り、テノールの声・・・。
守られているような感じで、すごい心地よい。
「先輩、すごい暖かいです」
だんだん瞼が重くなってくる。
これからは睡魔との戦いだ・・・。
「ミーコ?顔上げて?キスしたい」
そんな先輩の言葉も頭に入ってこない。
眠い・・・。心地いい。眠い・・・。
眠りに入る前に、最後に上を向くと再び唇に心地よい感触がして。
私はそのまま眠りに堕ちた。