私の顔を見た瞬間にヒラヒラと手を振る彼。


周りの女の子達は、


「誰に手振ってるの!?」

「格好いい~」


って騒いでるけど今はそれどころじゃない。


だって、なんで?


なんで彼がここにいるの?


さっと目線を机に戻して筆箱を見つめる。


ゆっ夢だ。


夢に違いない!


会いたいと心の中で思っていたから、思わず幻覚を・・・


「おい。こら無視する気か?」


キャーキャーって女の子の声がしたと思ったら、ガシっと頭を掴まれた。


「▲☆□×!?」


一瞬何が起こったかわからずに、目をパチクリとさせる。


それでもやっぱりそこにいたのは、あの彼で。


「ミーコ。今日も可愛いな~」


ヨシヨシと撫でられて腕を掴まれる。


掴まれると言うより触れられた?


そっとリードするように立たされて教室のドアへと向かう。


・・・って!!今授業中ですけど!


「せんぱっ!今授業・・・」


「いーの。ね?先生っ」


そう先輩が微笑む。


いつもは怖い先生も何故だか、へこへこと頭を下げて“どーぞ、どーぞ”と手を押し出してる。


「ほら。ミーコ行くよ?」


ギュっと大きな手に包まれて、自然と首がコクンと下がった。


だって、どんな状況だってね?


彼に会えたのが嬉しかったから・・・。