「また待つのかよ。紗衣を待つのは我慢できるけど、アイツを待つのは何かヤダ」

「あはは。そんな事言わないでよ、紺くん」

「それにアイツ、準備遅いし」

「…それは言えてるけど」



教室のドアから一番近いところにある私の席とは対角線上の、一番遠いところにある、大希くんの席。


それに、私とは真逆の性格。


――接点なんて、幼馴染ってことぐらいで…。


高校生にもなって、流石に、あの頃のように、大希くんの後ろにくっついているわけにはいかない。

わかってる。それは。


せっかく同じクラスになれたのに…放課後、3人で帰るとき意外は、話す機会がなくなった。


それに、私とはあんまり話してくれなくなって。


なぜか3人でいるときは、いつも、
  私・紺くん・大希くん
っていう順番に、横に並んで歩いてて。

私は紺くんとだけ。大希くんも、紺くんとだけ話す。

私と大希くんが2人で話すことが、あまり…というか結構、減った。


いや、ただの私の勘違いかもしれないけど。


そういう気が…する。


「おまたせ!行こーぜ」

「やっとかよ。待ちくたびれた」

「ごめんごめん!遊んでたら、時間忘れちまって」

「まぁ、大希のルーズさには結構慣れたけど」

「ふふっ。私も」

「だよなー。僕も紗衣も、もう大希にはお手上げだ」