でもそれが、私にとっては嬉しいこと。
気を使わずに話せてるって感じがして、凄く嬉しくなるから。
そんな話をしているうちに、荷物を全部入れて重くなったスクールバックを、ゆっくり肩にかけた。
「紺くん。準備出来たよ」
「おっし!帰るか!」
「うん」
紺くんは、持っていたスマホを、まだ新しいブレザーのポケットにしまった。
今は4月の中旬で、まだちょっと肌寒いから、ブレザーは必要だ。
私も立ち上がり、少し先に歩き出した紺くんの後ろに続こうとした。
――その時。
「おーいっ!待てよっ!俺を置いていくなよ」
「!」
後ろの方から、聴き慣れた、あの声が聞こえた。
同じクラスなのに、今はあんまりクラスでは話さない。
私の幼馴染。大切な友達の中の、一人。
「あ、大希だ」
「大希くん」
「もーちょい待ってて!俺も今準備するからっ!」
体を動かすのが得意な大希くんは、きっと今日も体育館でバスケットをしていたのだろう。
まだ入学して1週間しか経ってないのに、大希くんは、1組の人気者だ。
友達がもういっぱいいて…毎日、放課後とか空き時間には、友達と体育館へ走っていくところを目撃する。