『もー!世話が焼けるぜ』

『あははっ。そっちの女の子は、大希の妹?』

『ちゃうちゃう!同級生で、幼馴染!家が隣同士だから』

『へー!そうなんだ。名前は――』



『…紗衣』



そうやって、名前をいうことだけ。

それ以外、初めて会う人とは喋れなくて。



『紗衣ちゃん、かぁ。よろしく。僕、紺』

『…』

『紺、コイツ、人見知りハンパないから。いつも俺が介抱してやってんの』

『介抱って…。紗衣ちゃんにシツレイだろ』

『…“シツレイ”って何だ?』

『ははっ!大希って、意外とバカなんだ。5歳にもなって“シツレイ”も分からないって』

『なんだとっ!俺は…バカじゃない!』

『あははっ。バカだろっ!』



でも、あの日は。

貴方とその男の子の会話が、あまりにも楽しそうだったから。



『大希くんは…バカだよ』


『『!』』



1度だけ。

紺くん――とは、貴方と同じぐらい、すぐに友達になれた。



『お前…喋った!!』

『ホントだっ!紗衣ちゃん、ちゃんと喋れるじゃん!』

『それに、俺の悪口かよっ』

『うん…。へへっ…』