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「じゃあ僕はこっちだから」
「おう。じゃあまた明日」
「うん。じゃあな、大希、紗衣!」
「…う、うん。ばいばい紺くん」
話す2人の後を一生懸命追いかけ続け、紺くんの家と私たちの家の分かれ道についた。
ていうか…男の子って…歩くの、早い。早すぎる…。
ついていくにも一苦労だった。
昔だったら…大希くんが、すぐに気づいてくれて…
『ったく。紗衣は歩くのがおせぇなー』
『ち…違うもん!遅くない!大希くんたちが早すぎるの!』
『じゃあ、足が遅い紗衣のために、ちょっとスピード落とすか』
紺くんが右に曲がっていくと、私たちは左の方に曲がった。
並んで歩かない。
大希くんと2人の時のこの瞬間は、3歩分ぐらい、彼はいつも先を歩く。
「…」
「…」
――無言。
曲がり角から家までは1分ぐらいだけど、すんごく長く感じる。
大希くんの家は私の家のとなりだから、最後までずっと同じ道。
大希くんの大きな一歩が、今の私の二歩分になっていた。