―――
――――――
いつも、不思議だった。
どんな時でも明るく元気な貴方が、不思議だった。
『紗衣(さえ)っ!』
『…なーに、大希(たいき)くん』
『何でもねぇよっ!』
『え?じゃあどうして名前を呼んだの?』
『――紗衣が、無表情だから。笑えよ、ほらっ』
『…。』
小さい頃から、変わらない。
貴方はいつでも、笑顔を絶やさなかった。
物静かで、人と関わることが苦手な私とは対照的に
貴方はいつでも明るくて、元気で。
羨ましかった。私が一番なりたかった性格。
気づいたときにはもう、私はいつも貴方の後ろに隠れていた。
2人で公園で遊んでいるとき、近所の子が、私たちに近づいてきて。
『ねぇ!一緒に遊ぼうよ!』
こう、声をかけられたとき。
返事をするのはいつも貴方だった。
『いいよー!名前、何?』
『僕は紺(こん)。そっちは?』
『俺は大希!で、こっちは――ほら、紗衣!挨拶しろよ』
『…』
恥ずかしくって。
私はいつも、貴方のTシャツを掴んで、背中に隠れた。