「りょう、知ってるの?」

モト兄が驚いた様子で聞いてくる

「うん。講義の課題図書でさ。
恋人が突然事故にあって余命が告げられる。
残された彼は二人の未来を綴った手紙を書いて病院の屋上から飛ばす。
すると、その日から彼が手紙に綴った通りの未来がやって来る。

楽しくて
嬉しくて

彼女も笑っていて

でも

彼はふとした事から
現実に戻る
彼が見ていたのは未来の夢
夢から覚めた彼を待っていたのは彼女の死。そして彼女が死んでから彼の元に手紙が届く。
過去の彼女から…。


切ないですよね。
でも、だからこそ惹かれます。」



みんなの口数が減った

「そういう話だったんだ。」
「なんか、想像してたのとイメージちがうな。」


「でも、曲のイメージは出来たかも。

ちょっと…」


そう言ってモト兄がギターを握る


そして
おもむろに弾き始めた

ギターの音色にモト兄のハミングが重なる


凄い…


こんなふうに曲ができていくんだ