「はいはい。」

手をヒラヒラさせて晃さんは部屋に戻った


モト兄が私から離れる


「今日はごめん。」

気まずそうに謝るモト兄

「さっきから謝ってばっかりだよ?」


怒られた子供みたいなモト兄がなんだか可愛い


「私は大丈夫。
だって料理は好きだし、二人分も五人分も一緒だよ。」


「ん…。」


モト兄が納得したように頷いた


「じゃ、料理運ぶの手伝って。」



モト兄と料理を運ぶ


みんなおいしいって食べてくれて嬉しかった



モト兄のバンドのメンバーはみんな高校の同級生なんだって

ギターの晃さん

ドラムの啓介さんは落ち着いていて、一番大人びてる。

ベースの拓海くんは童顔で可愛い。小柄だししゃべり方まで女の子みたいな…


みんなすごい仲良くて
私もすぐに
馴染ませてくれた


「あ、みなさん今度映画の主題歌歌うんですよね!?」

お酒も回って盛り上がって来た頃私が言う


「そうだよ。一応、原作は読んでるんだぁ。」

拓海くんがコロコロと言う

「一応、それに合わせて曲作んないとね…。」

「でも、はっきり言ってよく内容わかんねーよな?」

啓介さんと晃さんは目を見合わせて笑った


「私は…好きですよ?あの小説。」