貴女side


.



午前3時、私は眠い目をこすり起きた。

「…さむ、」

窓の外はまだ真っ暗。
私はカーテンを開けて向かいの家を見る。

二階の左側の部屋


そこもまだ真っ暗。
私は携帯を手に取り、コールする。


「…」

何度かの発信で相手に繋がる。

『…はあ、い…』

「はあいじゃない、もう時間だよ?」

『んー…?…あーホントだ…ありがとねぇ』


彼が眠そうに返事をする

そして向かいの二階の部屋にポッと明かりが灯った

ガラガラと音がして窓から彼が顔を出し、
こっちに手をふる。


それを見て私も振り返す。




仕事が休みの前の日は必ず私の携帯に
「彼」から連絡が入る

「起きられないから起こしてね~」って、
釣りが大好きな彼。
貴重な休みには夜も明けぬ内からその釣りに出かける。

そして目覚ましより頼りにされるのは光栄ですよ、笑


その数少ない趣味でさえ最近は時間がなくてお預けなんだよね。
日本で一番忙しいって言ったら大袈裟かな?

だって彼は…





アイドルグループの大野湊。