「私、恋しちゃった…。」



そう小さく呟いた。
つもりだったけど、笑美ちゃんには聞こえてて、


「え、ちょっと、え、どしたの。え、誰に?」

「さっきの人。」

「はぁ⁉︎ ちょっと落ち着こうよ、優衣。何でよ、え。何であの人なの⁉︎」



笑美ちゃん、落ち着いて。
と私がつっこめる程、笑美ちゃんはパニクってる。



自分でも変なこと言ってるって分かってる。


今まで誰かに恋したことなんてない。

でも、これが恋なんだ。って分かったんだ。


一目惚れ?ってやつなのかな。


振り返って、あの人を見た瞬間、この人だって思ったんだ。


背が高くて、キリッとした目の中にある真っ黒で大きな瞳。

その瞳に一瞬で吸い込まれたんだと思う。


「なんであんな奴。はー、もー本当優衣ってわかんない。」



笑美ちゃん、まだブツブツ言ってるよ。



そんなうちに、教室が見えてきて、私達は教室へ入った。


私は1番にさっきの人を探した、



……いないか。


はあ、とため息をつき席についた。