呼び止められ俺は後ろを振り向く



「これ、あなたのタオルよね?

はいっ、落としたよ」



彼女は笑顔で俺にタオルを手渡した



その瞬間、俺の心臓が



ドキンッ─と音を立て

その胸の高鳴りは一瞬にして全身を支配した




「あのっ…ありがとうございます」




「今度は気を付けてね?じゃあね!」




栗毛色の髪をサラサラとなびかせながら


俺に背中を向けて走っていく




俺はこんな単純な出来事で


名前も知らないひとに



一瞬で心を奪われてしまった