あ~!!


もうアタシ完全に陸にはまってるやん。。



ベッドに倒れこんでいるアタシに下から声がかかる。


アタシは重い体を起こして一階に下りた。





リビングに行っても誰もいない。



「アズ~早く~」


あ~そういうことね。。



そんなに大きくもない庭で毎年恒例の餅つきが始まっていた。



今どき機械を使わない家も珍しい。



そしていつの間に来たのか近所のおばさん達も集まっていた。




「アズちゃん。キレイになって~」



お決まりのセリフに頑張って笑顔を振りまく。




今アタシは餅どころじゃないの!!



すでにアタシの妄想では陸の横にはかわいい女の子がいた。



うぅ~陸~!!



帰ってきて~。。。




それでも無理やり杵を持たされたアタシは必死に餅をつく。




「姉ちゃんさすが馬鹿力!!」



達也がアタシを見ながらお腹を抱えて笑う。



この勢いで達也もついてやろうか??




そしてやっと開放されたアタシは携帯を確認する。



着信なし、メールなし。。






口に放り込まれたお餅を食べながら携帯をポケットにしまった。




「俺彼女と初詣の約束あるから出るわ」



アタシの気持ちも知らないで達也は車の鍵を持って出て行った。




みんなで話していてもお節料理を食べていても陸が気になって仕方ない。





「お母さんそろそろ帰るゎ」



「え~もう??」



「・・ゴメン。また来るから」




「じゃあタッパーに詰めるから持って帰り。」



そういって食べきれないほどのお節を手にアタシは部屋へと戻った。