「じゃあ行ってくるね」



「エ〜ッ!!」


陸の声が玄関に響く。

そしてアタシの腕を掴んで放さない。


一生の別れ??


そう思いながらもアタシが玄関を開けようとするのを必死で阻止する陸は可愛かった。



「バイバイ。笑」



そんな陸の手を振りほどいてアタシは実家へと向かった。




実家へは車で30分かからない。


周りからは一人暮らししている事を不思議がられる。



アタシもそう思うし誕生日までは実家に帰ろうとしていた。




でも今となっては帰る気なんてさらさらない。






うちの前に着くと弟の車が駐車場を占領していた。



帰って来てるんだ。。



弟の達也は4つ下で仲はいい方だと思う。



でも車の趣味とか服の趣味がアタシには分からない。




なんていうのか。。



女の趣味も悪い。




弟の車の横ギリギリに停めて玄関のドアを開けた。




「あ〜アズミお帰り〜」



「ただいま」




お母さんは相変わらずのテンションの高さでアタシをうちへと招き入れる。



和室に入るとお父さんと達也がコタツに入ってテレビを見ていた。




相変わらずの変な髪形の達也を見ると溜息がでる。




「お〜姉ちゃん!元気?」




「。。元気」



「テンション低ッ!!」


あんたの髪型に引いてるんだって。




そしてその横のお父さんがアタシを見る。



完全にメタボだ。



アタシが父の日にプレゼントした服を着こなせてない辺りがすごい。



だからその服はパンツの中に入れたらあかんのやってばぁ。。





はぁ。。。




この人達に何を言っても無駄なような気がしてアタシはキッチンのお母さんの所に戻った。