でも陸はアタシの顔を見たまま笑っているだけだった。


「キスされるとか思った?笑」


「思ってない!!」


「あっそぉ」



そしてまたアタシに背を向ける。


はぁ。。。


アタシの妄想??

17歳の割には広い背中を見ながら溜息をつく。



もうすぐ2008年になる。



アタシはキッチンに行き年越しソバの準備をした。



12月に入ってからの1ヶ月はあっという間に過ぎてアタシの気持ちだけが置いてけぼりになっているような気がしていた。





こうやって陸の為に料理を作るのもあと何回あるか分からない。

そう思うと余計に陸を愛おしく思うし放したくないと思った。






「はぁ〜いどうぞ」


「うまそ〜」




何を作ってもおいしそうに食べてくれる陸が好き。



テレビではカウントダウンが行われている。



それに合わせてアタシと陸も嬉しそうにカウントダウンしていく。




2007年。


それは好きな人と別れて大切な人に出会った年だった。




バイバイ2007。。。







「さっ行きますかぁ〜」



「いこいこぉ〜」



アタシ達は近くの神社に初詣に出かけた。



でもそれはすぐに後悔へと変わった。



あまりにもベタな場所を選んだアタシ達は一瞬で人ごみの中に巻き込まれた。




「すごい人。。。」



「だね」




離れそうになる手を陸が掴む。



凍えそうに寒い中アタシの体の温度は一気に上昇する。




そしてその姿を一番見られたくない人に見られた。




あっちから声をかけてくるわけでもない。



もちろんアタシから声をかける事もない。



前に見た時とは違う女を連れた敦の姿がそこにはあった。