それでもいつまでもここにいる訳にもいかない。


そっとドアを開けると陸はソファに座ったままこっちを見ようともしない。



「陸~??」


無理に出した明るい声が嘘っぽい。


「陸?夕ご飯何にする??」



「。。。」




「陸~」




アタシは陸の隣に座って顔を近づけた。



チュッ




えっ?



キス?




「弟だもんね~笑」



そう言いながらアタシの目を見る陸は9つ下には見えない。



アタシは体に力が入らないままソファにもたれ掛かって大きく深呼吸をした。



「アズさん、スパゲッティーー食べたい」



何も無かったように話す陸の言葉もテレビの音と混ざってアタシの頭には残らない。



陸はアタシをからかってるんかな。。



アタシの気持ちを知ってて面白がってるだけ?



考えても考えてもいい答えは見つからなくてさっきの唇の感触だけが残っていた。




「アズさんってば!!」



「ん?」




「スパゲッティー!!」



「・・・うん。分かってるって」




そう言いながらアタシはそこから立ち上がり一瞬陸の顔を見てキッチンに向かった。


このどこにぶつけたらいいのか分からない感情はどうすればいい?



棚にあるパスタや冷蔵庫の材料を確認しながらも胸のモヤモヤはとれなかった。




「ちょっと足りないもの買ってくる」




アタシはそういってカバンを持って部屋をでた。



まだ降り続けている雪を見ながらマンションの裏のベンチに座りタバコを取り出す。




フゥ。。



煙と一緒に吐き出す息も白い。



半分くらい吸ったところで少しは気持ちが落ち着く。



もぅいちいち陸の言葉や態度に振り回されるのは止めよう。



大人の余裕を見せてやる。



そんな間違った意気込みをしてベンチから立ち上がる。



さすがに何も買わずに帰るわけもいかないアタシはフラフラとスーパーへと歩いた。