アタシは鳴り止まない携帯を持ち寝室へと逃げた。


なんだか陸の視線が痛い。



『もしもし?』



『あっ高崎?今大丈夫?』



『あっはい。。』


アタシは音を立てないように静かにドアを閉めた。


そしてベッドの端に座りなるべく小さい声で話す。



『高崎新年会とかしない??』



『えっ?新年会ですか?』


『あのこないだの焼き鳥屋で仲間達と集まるんだけど。。よかったら高崎も来ないかなと思って』




新年会かぁ。。


別に断る理由もない。





ガチャ




「アズさ~ん?」


「えっ。あっ。どうしたん?」




陸の声にアタシの心臓はまた大きく鳴り出す。


『誰かいるの?』



『えっ。。あっ。。弟が来てて。。』



アタシの言葉に陸はアタシの髪の毛をグシャグシャにして出て行った。




嘘を付いたことを後悔しながらも中山さんとの電話を切ることも出来なくてそれから15分くらいは話した。




リビングからはテレビの音だけが聞こえる。




『じゃあまた連絡するね』



『。。はい』



結局陸が入ってきてからの会話は何を話していたのかよく覚えていない。




電話を切ってからもなんだか気まずくて寝室のドアを開けられないアタシは少しの間、携帯を握り締めたままベッドに座っていた。