アタシはすぐに帰るからと言って電話を切った。


声を聞くだけで心が揺れる。


今、陸は部屋でまた誰かとメールをしてるのかな。


アタシは車から降りて駅までの道を歩いた。

止まない雪と凍えそうな寒さに手がかじかむ。



素直になれればどんなに楽だろう。



そしてまた携帯が鳴る。


陸?





でもアタシが期待した相手ではなかった。


【昨日は映画付き合ってくれてありがとな。またご飯でも行こうな。】




中山さん。。



嬉しいはずのメールにも返信することなくそのままポケットに携帯をしまった。



駅の近くのケーキ屋さんは結構有名で店内はすでに人で溢れていた。


あ〜いい匂い。


ケーキ屋さん独特の甘い匂いが広がっていて心まで暖かい気持ちになる。



陸ってどんなケーキが好きなんだろう。。


電話してみようかな。。




でも。。


アタシはホールじゃなくいろんな種類のショートケーキを丸くしてもらう事にした。


丁寧に包んでもらったケーキ箱を持って来た道を帰る。




「アズさ〜ん!!」




遠くから雪の上を走ってくるのが男の子が見える。



「陸どうしたん?」


「どうしたん?じゃな〜い。アズさん遅いから迎えに来たんだよ!!」



「あっこれ、はぃ」


「ケーキ??」


「そうだよ。笑」



陸はそれを嬉しそうに受け取ってアタシの隣を歩く。


そしてアタシが雪で濡れないように傘を差してくれた。


ほとんど傘に入っていない陸の肩には雪が積もっていく。



陸。。そんなの反則だよ