「17歳かぁ〜」


そう言いながらマキは陸の頭をポンポン叩く。



「カワイイ〜」



その間も陸は動かない。


正しくは動けない。



マキの貫禄はそれくらいあった。




仕事のできる大人の女は年下の男の子にも強かった。




「さっご飯食べよ〜



今日は塩さばにしてみた。笑」




「アズ最高〜。」




そう言いながらマキは冷蔵庫からビールを出す。


それはいつもの事で別に驚くこともない。



ここからビール祭りになるのがいつものアタシ達。



でも今日は。。。



陸いてるし。。




そんな事マキには関係なくアタシの前にも缶ビールが置かれる。



「陸はお茶でいい?」


久しぶりに陸の顔を見る。




「・・ええよ。笑」



「なんか陸のイントネーションおかしくない?さては関西人じゃないな?笑」



マキに突っ込まれて何回も『ええよ』の練習をする陸がカワイイ。



3人で囲む食卓は想像より全然和んでいて楽しかった。




けどアタシは車の中での陸の言葉が頭の中をグルグルと回っていた。




ちょっとでも本気にした自分が恥ずかしい。



あの時、アタシも好きだなんて言っていたらどうなってたんだろうと思うと胃が痛くなる。



「アズさんってホント料理うまいよね」



「陸もこんな奥さんをもらいなよ。笑」




「そうだね」




二人の会話が遠くに聞こえる。



こんなに近くにいるのに。。。