「アズさん、もうすぐ部署変わるかもですね。」


「う〜ん。。でもアタシはそんなにできるわけでもないし。またここじゃない?笑」



「そうかなぁ。。アタシはアズさんがここにいてくれる方が嬉しいですけど。笑」



アタシもここにいる方が気が楽。いつも同じ時間に出社して同じ仕事をこなす。


新しく何かをしたい、もっと上に上がりたいという欲はアタシにはなかった。




そして今日も1日PCと向き合う。


そんなに人と話すのが得意じゃないアタシは結構この仕事が気に入っていた。



マキのようにバリバリ働けたらまた違った人生が待ってるのかも知れない。


「じゃあお疲れ様ですっ」



時間はもう6時を過ぎようとしていた。


急がなきゃ。。歩きながら陸に電話をかける。




『もしもし陸?』



『あっアズさん!』


『ゴメン。遅くなって。今どこ??』



『ちゃんと駅にいるよ』




『すぐ行くから』




『は〜い』



アタシは三宮駅へと急いだ。





遠くの方で見える陸は他の高校生と比べ物にならないほどカッコよくそこだけ別世界のように目立っていた。





ただ何をするでもなくベンチに座ってアタシを待ってるだけなのに。




「陸〜」



「アズさんっ」



アタシに微笑む陸を周りの女子高生が不思議そうに見る。


そりゃそうだよね。。



陸が『アズさん』って呼んだ時点で兄弟説は消えただろうし。。



援交なんて思われてたりして。。



アタシは早くそこから離れたくてタイミングよく来た電車に飛び乗った。