アタシは電車に飛び乗り部屋へと急いだ。白い息を吐きながら走るアタシは陸と離れたくないという思いでいっぱいだった。




勢いよく玄関のドアを開けると陸がいつものやさしい笑顔で待っていた。



「おかえり」


すぐにでも聞きたいことがあるのに息が整わないアタシはなかなか話すことができない。


そんなアタシを見てミネラルウォーターを差し出しながら陸は笑っていた。



「陸どうしよぉ!!」



「えっ??笑」



「陸出て行かんといて欲しい!!一緒にいたい」






陸はまだ混乱しているアタシに優しいキスをした。


そしてアタシの目の高さに合わしてニコッと笑った。



「なんか。。。嬉しいし。」



「・・・えっ」



「アズさんがそういう風に思っていてくれて嬉しい。俺もアズさんと一緒がいいよ。


・・でも帰るね。」




「なんで。。」




「アズさんの印象が悪くなるから。それにうちの親気まぐれだしまたすぐ戻ってくるよ」



そう言う陸はアタシなんかよりずっと冷静で落ち着いていた。そして玄関のドアが開いた。



・・・真山さん。


「アズちゃんゴメンな!とりあえず俺が任されてたって言うのもあるし連れて帰るゎ。陸の親には遥がうまくごまかしてるから」




「あっ。。。うん」




アタシの頭の中が整理できる前に陸は荷物をまとめて出て行った。

取り残された部屋の隅でアタシは立ち尽くしたまま動けないでいた。一生の別れという訳でもないのに寂しさが押し寄せる。



そのままのターンテーブルを指の先で触りながら陸の事を思っていた。



いつかはこうなる事は分かっていたのに余りにも突然すぎる。。




はぁ。。


まだ手に持ったままだったカバンをソファに置き2ヶ月前に陸がココに来た日の事を思い出していた。