「じゃあ俺この後、会議あるから高崎は通常業務な」


「はい」


一階のフロアで中山さんと別れたアタシは一人部署へと戻った。まだお昼休み中という事もあってほとんど人は残っていない。



アタシはカバンの中から携帯を出し着信をチェックする事にした。


陸。。








【アズさん、今日一緒に買い物いこっ】


いつもと変わらないメールにホッとしながらアタシ達は大丈夫だと思った。

この気持ちが変わらないうちに返事をしたくて返信画面を開いた瞬間、遥から電話がかかった。





『アズ~』


『は~いどしたん?』


『今いい?』



『うん』



『今。。。陸のご両親がココに。。』



『えっ。。』




何で?4月に戻るって行ってなかった?遥に聞きたいことはたくさんあるのに午後からの仕事の始まる時間がくる。



アタシは後で掛けなおすことだけを伝えて電話を切った。


陸の親が帰ってきた。



仕事に集中なんて出来ないアタシは時計ばかりを見ていた。


こんな日は時間が経つのも遅くて頭と体がバラバラに動いていた。




「お疲れ様でした」



最近残業続きだったアタシは今日は時間通りに帰ることを許された。


会社を飛び出し携帯を手に持ったまま駅へと急ぐ。



『もしもし陸?』


『うん。何アズさんそんな息切らして。笑』



何も分かってない口調の陸に少しイライラしながらもアタシは陸の両親が帰って来てることを伝えた。



『知ってるよ』




その言葉に自分の耳を疑う。知っててそんな冷静でいられるんだ。。



小走りだったアタシの足は止まりその場にしゃがみ込んだ。




『今どこ?』



『どこってアズさんの部屋。。』



『でも。。』



『とりあえず帰ってきて~待ってるし。』



そういって電話は切られた。