聞きたいことはたくさんある。仕事の事もプライベートの事も。。。


中山さんの車は落ち着いたゆっくりとした音楽が流れていた。洋楽で誰かも分からない。この人がどんな人なのかは部屋や車の中を見ればよく分かる。




少しの沈黙も気まずくて何かを話そうと思うけどなかなか無難な質問が出てこない。



「なぁ?笑」


「えっ??」


「眠い?笑」



「そんなことないですよ~」



「そっか。。笑


・・ゴメンな」



突然の言葉にアタシは中山さんの顔も見た。会社で見せる自信に溢れた顔じゃなく少し悲しそうに見えた。



「中山さん。。。アタシ、会社に入ってから中山さんの事ずっと憧れの存在で話かけられた日なんて1日顔がにやけっ放しやったんですよ。」




ただ頷いている中山さんを見ながらアタシは話を続けた。



「でも中山さんは遠い存在の人で好きとか付き合いたいとかそんな事は考えるだけ無駄だと思ってて。。。」




「・・・」



「それで中山さん転勤で居なくなっちゃって。。」



「そっか。。。俺タイミング悪いな。。。」



そう言ってアタシを見て笑った。



「俺。。研修で高崎に教えてる時から好きだった。でも今高崎に大切な人がいるのも分かってるしそこに割り込むなんてしちゃいけない事も分かってるんだ。


なのに。。。ゴメン」


あの憧れていた中山さんがアタシを好きだといってくれている。

アタシは遠くの景色を見ながら選んだ道は間違ってるんじゃないのかと思っていた。





「はいっ!もう仕事モードに切り替えよ。」



「はいっ!!」



アタシを悩ませないようにしてくれているのも分かっていた。