「陸？」


「・・・」



「もういい」

ｱﾀｼから目をそらした陸に我慢し切れないｱﾀｼの涙は床に落ちていく。



「・・・ｺﾞﾒﾝ元ｶﾉ」





分かってたはずなのに陸の方から言ってくれなかったことに不信感を覚えた。



何も言い返すことの出来ないｱﾀｼの手をとって陸は話続ける。




「何もないよ。沙織。。あっ元ｶﾉの名前なんだけど、ｱｲﾂが変な男と付き合ってていい噂聞かないから。。。」




その陸の言葉で納得できれば今まで通りの気持ちで一緒に暮らせたのかも知れない。でもｱﾀｼは何かが引っかかっているのを隠して笑顔を作った。



「そっか。。疑ってｺﾞﾒﾝ」




「こっちこそｺﾞﾒﾝ」





ｱﾀｼが寝室に戻ると陸の携帯が鳴っているのがﾘﾋﾞﾝｸﾞから聞こえた。多分元ｶﾉからだろうなと思いながらも何も聞こえないふりをして陸のところへと戻った。




ｱﾀｼの目を気にしながらこそこそとﾒｰﾙを打ち返す陸を見るのが嫌でｷｯﾁﾝでお昼ごはんの準備を始める。




「ｱｽﾞさん」



「ん？」



「信じて」



いつものかわいい笑顔も今日は切ない気持ちにさせた。



元ｶﾉが誰とどんな付き合いをしようと陸には関係ないよね？

そう言いたかったけど26歳のｱﾀｼがそれを抑えた。



やっぱりｸﾗﾌﾞなんていかなきゃよかった。結局この部屋には陸がもらってきたたくさんのﾊﾞﾚﾝﾀｲﾝﾁｮｺとｱﾀｼの後悔だけが残った。




はぁ。。



陸の元ｶﾉの存在を知ったことで不安に押しつぶされそうになる。


自分も昨日中山さんの胸の中にいたのに。。。