電車を降りると亮さんが迎えに来てくれていた。マキがメールをしておいてくれたらしい。


亮さんにしても真山さんにしても優しいな。。。今のアタシには何だかすごくうらやましく思えた。



「お帰り~」


「ただいまっ」


「早いやん。浮いてた??笑」



「うるさいっ!!」


マキと亮さんの会話を聞きながら亮さんの店へと向かう。


さっきの陸の後姿を思い出しては泣きそうになった。


本当にアタシは弱い。


えっ?中山さん?

亮さんの店の前には赤のボルボが停まっている。





「あっゴメン。一人酔いつぶれてるお客いるけどいい?笑」



「あっはい」



中山さんが酔いつぶれるなんて珍しい。


店の中に入るとカウンターでうつぶせになって寝ている中山さんの姿があった。アタシとマキは起さないように静かに奥の座敷に座った。


「ビールでいい?」



「・・はい」



亮さんはビールと簡単なおつまみを持ってきてくれた後、席を外してくれた。


こういう気配りができる人なんだ。。初めに会った時の印象があまりにもひどくてアタシは勘違いしていたのかも知れない。



「っで?」


「・・・」



「陸?」



「・・うん。なんか女の子の手を引っ張って出て行った」




「はぁ??それであんたはそのまま何も言わず?」




「・・・うん」




「はぁ。。。」




溜息をついて呆れ顔のマキはビールを飲み干しサーバーに二杯目を入れにいった。


マキが怒っている時は足音でも分かる。



「元カノかも。。」


「なにそれ」



「なんか周りの女の子が元カノが来てるって騒いでたから」



「電話」



「えっ?」




「陸に電話」



「。。。でも」