約2時間の会議が終わってみんなが立ち上がり部屋から出て行く。座ったままのアタシは大きく溜息をついて中山さんの方を見た。


「ん?」


「アタシ。。全く理解できませんでした。。。」


「そんなの当たり前。笑
俺がちゃんと教えていくから大丈夫だよ」


中山さんにそう言われると大丈夫な気になってしまうから不思議だ。

結局この日は会社を出るまで中山さんの周りには女の子の姿が途絶えることはなかった。


「じゃあお先に失礼しますっ。」


「おうお疲れ~気をつけてな」


「はい」



この部署になってから残業なんて当たり前で陸を部屋で一人待たせる事が増えていた。


今日ももう20時を過ぎている。しょうがない。。アタシは何も買わずに部屋へと戻った。




「ただいまっ」

「お帰り~お疲れさま」


「うん」


この笑顔を見ると今日の仕事の疲れも吹き飛ぶような気がする。


「陸ゴメン。。今日ご飯作る力残ってない。。」



陸は大きく溜息をついて両手でアタシのほっぺたを触る。



「だからぁ~そういう時は電話してくれたら俺作るってばっ」



そしてそのまま軽いキスをしてクローゼットから自転車を出してきた。



「いこっ。」

「どこ?」


「いつものとこ。笑

自転車ならアズさんビール飲めるし」


まぁ。。この自転車で二人乗りも交通違反なんだけど。。


アタシはその陸の優しさに甘える事にした。


ステップに足を乗せ陸の肩にしっかり掴まったアタシを確認してから自転車は走り出した。



冷たい風を切りながらあの居酒屋へと向かう。



自転車だとさすがに遠い。



「大丈夫?」


「大丈夫だって!!」



タクシーでいけばよかったかな。。そう思いながらも必死に漕いでくれている陸にそんな事を言えるはずもない。



それでもいつも車では通らない中道を抜けると案外早くについた。



いつものように活気のある店内は金曜という事もあってお客さんで溢れていた。