遙はアタシから電話が掛かってくることが分かっていたかのように1コールで出た。


『おはよ(笑)』


『おはよ。って遙そんなとこ行って大丈夫なん?』



『そりゃまずいよ。アタシは陸のDJプレイをちょっとだけ見たら真山さんに迎えに来てもらうつもり。』


本当に真山さんは遙のいいように使われてるな。。。

電話を切った後アタシの携帯のディスプレーにはメール受信を知らせるマークがついていた。



マキかな。。

マキが行かないなら中止にしよう。

そう自分の中で決めてからアタシは受信メールを開いた。



アタシの願いも虚しくあっさりOKされていた。
土曜の夜亮くんはお店が忙しいから。と理由も書いてあるあたりマキらしい。



結局バレンタインは女3人でクラブに行くことになった。


さえない顔をして部署に入るアタシの手をようちゃんが引っ張る。



「どうしたん?」


「アズさんっ!!営業の藤谷さんが昨日中山さんのマンションの駐車場からアズさんが出てきたの見たって騒いでましたよっ!」



何でそんなとこに藤谷がいるわけ?

藤谷はアタシと同期だけど仲がいいとは言えない。

どちらかと言えば苦手なタイプであまり話す事もなかった。


もしかしたら昔のアタシのようにストーカー行為をしていたのかも知れないな。

ここでへんな言い訳や嘘をついてもいい方向に向かわない事くらいは学習した。


「行ったよ」


ようちゃんはまさかアタシの口からそれを認める言葉がでるなんて思っていなかったんだと思う。

次の返事が返ってくるのに時間がかかった。



「えっ?」


「部長に急ぐ資料を中山さんに届けて欲しいって頼まれて」



「あ、あぁ。。」



「ただそれだけ。笑」



アタシは腑に落ちてないようちゃんをそのままにして席に着いた。



そしてその後ろからハスキーボイスの男の人に声をかけられた。