「じゃあ。。少しだけ。。」


「はいはい。笑」



玄関はとても綺麗でこの奥の部屋もきちんと整理されている事が想像できる。

そしてすでにいい匂いがここまで届いていた。



「お邪魔します。。」


「どうぞ。」


優しい笑顔で迎え入れてくれる中山さんにドキドキしないと言えば嘘になる。

部屋着で寝癖のついた髪の毛を触りながらアタシの前を歩く中山さんはアタシの知ってる中山さんより身近に感じることができた。




中山さんの後について通された部屋はモノトーンで統一された大人の雰囲気が漂う素敵な部屋で思わず周りを見渡してしまう。




「あんまり見るなよ。笑」



「あっ。。スミマセン」




中山さんはまだそんなに調子が良さそうでもなく声は枯れていた。そんな声がまたアタシの気持ちを揺さぶる。





「何飲む??」



「あ。。そんな気を使わないで下さいよ。。」



「いいからいいから」




「じゃあ紅茶で。。」




「おっけい」




何でも手際よくこなしてしまう中山さんはさすがだと関心しているとアタシの目の前には紅茶が運ばれてきた。




中山さんはコーヒー。


きっとブラックだと思う。。



陸は紅茶。



こんな時でも陸を思い出す自分にアタシは少し安心した。


「先選んでエエよ」




そう笑顔でケーキ箱をアタシに差し出す中山さんは余裕がある。



そしてそれに甘えて本当に先に選ぶアタシはどうなんだろう。。。



「じゃあこれで」



「じゃあ~俺これにしよぉ~」





そう言ってアタシの向かい側に座り微笑む中山さんをアタシはぼーっと見ていた。



奥のキッチンも男の一人暮らしだとは思えないほど綺麗に整理されているのが見える。



入れてくれた紅茶も自分が入れたものより全然おいしい。




やっぱりこの人は完璧だ。。。